くろーんもーのクロ歴史

2018年の3月に35歳を過ぎてクローン病と診断されたおっさんの備忘録的なブログです。病状や治療のことを書き綴ります。

これまで受けてきた治療

クローン病の診断後から2年間でステロイド、レミケード、ヒュミラ、免疫調整剤と主に4種類の治療を経験してきたが、受けた治療の数が多くなると当時の感覚や状態についての記憶が入り交じって、忘れて、自分でもよく分からなくなっていく。

それぞれの時点での気持ちや状況は、過去のブログに都度残しているが、記事が増えるにつれ散らかっていくので、何かのタイミングでまとめをしておこうと思う。

まずは、免疫調整剤の併用が始まった現時点(2020年8月)までの治療の経過をまとめておく。



0. 5-ASA製剤とエレンタール(2018年3月〜 )、鉄剤(2018年4月〜 )

2018年3月にクローン病の治療を開始した時点から現在まで、ペンタサ、エレンタールの服用は途切れず続けている。
ただ、ステロイドの効果が切れた時期(2018年7月)やレミケードの効果が弱まってきた時期(2019年7月)には、これらだけでは症状をほとんど抑えられていないので、気休め or 主たる治療の補助程度の効果しかないと思っている。

エレンタールについては、3包/日からはじめて、4包/日、5包/日と、徐々に一日の摂取量を増やしていったが、
5包/日を飲むうちに腹部膨満感を強く感じるようになったので、2週間で4包/日に戻すこととなった。
その後は4包/日で落ち着き、2018年4月以降は変わらず4包/日を続けている。

鉄剤は治療開始から1月程度経った時期に息切れを感じるようになったのでそこから処方され、現在まで服用を続けている。
処方箋付きの鉄剤の効果は強力で、服用するようになって数日で自覚症状はなくなり、ヘモグロビン量は10 g/dLを切っていた状態から2週間程度で基準値近くまで回復し、以後は基準値(13.5 g/dL)前後の値を維持している。

1. ステロイドによる治療(2018年3月〜2018年5月)

2018年3月、大腸内視鏡検査を受けた当日に、(ほぼ確実に)クローン病であると診断され、ゼンタコート(3mg)による治療を開始した。
ゼンタコートは、小腸で溶けることで全身への副作用を抑えることが出来る局所作用型のステロイドで、寛解導入目的で使われる。

効果は、持続しなかったものの、
投与時の短期間は強烈に発揮され、肛門部の出血や痛みが1ヶ月くらいでほとんど無くなり、診察でも明瞭に回復していると言われた。
便の状態、排便回数も症状が出る前のように改善された。

効果を実感して、2ヶ月でゼンタコートによる治療は終了した。

2. レミケードによる治療(2018年7月〜2019年10月)

レミケード(インフリキシマブ)による治療は、1年間(9回)行ったが、途中で薬や投与量が変化している。

最初は先発薬の「レミケード」による治療を行い、2019年6月(8回目)から転院に伴って薬剤が変わり、バイオシミラーの「インフリキシマブBS」による治療に変わった。
また、体調や内視鏡検査の結果から、通常量では効果が弱いとして8回目からは倍量での投与が行われた。


ステロイド治療の終了後、1月程度は良い状態を保っていたのだが、2018年6月の後半に入ると腹痛の症状が出始め、7月の2週目には出血は毎日、便は下痢、頻便となり、37℃台前半の微熱が出るようになった。

7/17に胸部レントゲンとツベルクリン検査、体重測定を行い、問題が無いことを確認して、7/30に初回のレミケードの投与を受けることとなった。

点滴までの2週間が、診断前も含めたこれまでの全期間で最も体調が悪いと感じた時期だった。
腹部の様々な場所で腹痛が起き続け、時に強く痛んだ。しぶり腹の症状も出るようになり、微熱はほぼ毎日出ている状態となった。
微熱と腹痛のため休日や帰宅後はほとんど寝転がっている状態だったが、仕事をすることはできた。
この時期は空腹感を全く感じなくなった。食事を用意してもらえば、美味しく食べられるのだが、何かを食べたいという気持ちが湧いてくることは無く、
動かず、下痢が続いていることもあって、一日中何も摂らなくても平気であった。
炎症と下痢で吸収が落ちているのは間違いないので、意識して食事と水分を摂るようにしていた。

初回のレミケード投与時は、新たな治療に対するワクワクと、副作用に対する不安が混ざった気持ちであったのを覚えている。
初回は特に厳重に血圧・体温・血中酸素飽和度をモニタされ、点滴開始後最初の15分は看護師さんが付きっきりで、その後は15分毎に測定された。

投与後の効果は初回からハッキリと速やかに感じられた。
最初の変化は、腹痛の消滅で、投与後には全くなくなっていた。投与中にも気にならなかったため、投与を開始して短い時間で無くなっていたのかもしれないと思っている。
他にも、投与日の夜以降は出血が一切無くなり、数日のうちには微熱も治まっている。便の状態の回復はゆっくりで、最初の1週間は軟便が続き、2週目に固い便が出るようになった。

効果が確認されたので、その後もレミケードでの治療が継続されたのだが、
いずれの場合でも効果は常に速やかに現れていたが、2回目以降は期間後半(8週ごとなら後半の4週間)に調子が少しずつ下がっていくのが気になっていた。

5回目(2019年1月)からは二次無効のような症状が出始め、効果がこれまでより不安定になる。
点滴開始後に身体に痒みを覚えるようになったのもこの時期からである。
調子は、2018年7月のような悪い状況ではないが、レミケードを初めて使ったときのようなシャープな効果が薄れ、「(前に比べると)なんかイマイチ」と感じるようになっていた。

7回目(2019年4月)の投与後に引っ越しに伴って転院をし、
新しい病院で内視鏡などの検査をしたのち、通常量では効果が不十分だということで、8回目からは倍量での投与を行うこととなった。
転院後の病院ではバイオシミラーを使うことになっていたので、薬剤も「レミケード」から「インフリキシマブBS」に変更になった。

8回目からは、発疹や呼吸困難、吐き気の副作用が強く出るようになり、ステロイドの点滴が必要になった。

倍量投与に変更すると、それまでよりは効果を感じられるようになったが、初回のような劇的な回復を感じるには至らなかった。

効果が強烈には回復しないまま2度の倍量投与を受けると、10回目予定の日(2019年10月)の検査でCRPが5.9になっていることがわかり、
10回目の投与は中止してヒュミラへ切り替えることになった。

 

3. ヒュミラによる治療(2019年10月〜 )

2019年の10月にレミケードの倍量投与で効果が見られなくなったために急遽ヒュミラへの切り替えが行われた。
2020年7月からは免疫調整剤との併用が行われているが、ヒュミラの量、ペースには変化は無く、2週間に一回、通常量での注射を続けている。



レミケードは倍量で投与していたが、ヒュミラはまずは通常量の投与ということになり、
レミケードで副作用が強く出ていたことから、初回の注射時は様子を見るために1時間病院にとどまることとなった。

初めての自己注射はおっかなびっくりだったが、痛みも全くなく、簡単に終わった。
副作用も出ること無く、通常量でもしっかりと効果が現れたので、初回以降現在まで通常量での投与が続いている。

効果は、レミケードほど急激には現れないが、2〜3日で実感できた。5日目くらいからは便の状態も良くなり、排便の頻度も減った。

現在は、注射日を忘れてしまいそうになるほど効果が継続しており、調子の波は大きくは感じない。
ときどき10日目過ぎ頃から便が軟らかくなることがあるが、下痢になるほどでは無く、次回の注射以降2〜3日で良い状態に回復する。

肛門部からの出血は3回目(2019年11月)頃から起きるようになり、座薬を使う様になっている。

4. 免疫調整剤の併用(2020年7月〜 )

ヒュミラによる治療は効果を上げており、体感的には元気な状態が続いていたが、CRPの値はうまく下がらず、2020年に入ってからは2.0を超える状態が半年以上続いていた。
そこで、7月中旬の診察の際に、炎症を抑えて寛解状態へもっていくために免疫調整剤(アザニン)の併用を提案された。

ただし、いきなり薬を処方するのでは無く、検査をして問題のある遺伝子型の有無を確認することから始まった。
アザチオプリン(=アザニン、イムラン)のようなチオプリン製剤については、重篤な副作用の有無を判定する遺伝子検査(NUD 15遺伝子多型検査)が近年開発され、それが2020年のはじめに保険適用になっていた。
私はこの検査を知らず、アジア人は欧米人より免疫調整剤の効果が極端に出る患者が多いといわれていることだけを知っていたので、
免疫調整剤と聞いたときの感想は「副作用がこわいな」「できれば使いたくない」というものだった。検査を知って、事前にひどい副作用が出ないことを確認できるのはありがたいと思った。
遺伝子検査といっても、患者としてはいつも通りの採血をするだけなので特別な準備も苦痛もない。診察後に採血をしてもらって、次回の診察での結果待ちをするだけだった。

遺伝子検査で問題となる遺伝子を持っていないことが確認され、CRPも相変わらず2.0を上回っていたのでアザニンを服用することとなった。
アザニンは、薄い錠剤で飲みやすく、一日1錠を朝服用する。

遺伝子検査でわからない副作用があることにも注意して、まず2週間試しに服用したが、さしたる副作用は現れず、効果があった(2週間でCRPが2.0から1.5に低下)ため、続けて服用することになった。

アザニンを服用している際の体調の変化はまだ把握できない部分がある。
弱い頭痛や、なんとなくだるいような気がするといった、軽度の不調を感じることがたまにあったが、同じような環境であっても症状の再現性があるわけでは無く、アザニンによるのかは不明である。