くろーんもーのクロ歴史

2018年の3月に35歳を過ぎてクローン病と診断されたおっさんの備忘録的なブログです。病状や治療のことを書き綴ります。

IBD患者の新型コロナウイルス感染症について(Japan IBD COVID-19 taskforceまとめ第15報)

全国的に新型コロナウイルスの新規陽性者数が減少を続けており、ワクチンの先行接種も始まり、第3波も収まりが見えてきたのかなという時期にこんな文章をまとめる。
毎度のことだが、筆が遅いのでタイムリーな記事は書けないなぁと思う。

相変わらず、生物学的製剤やIBD関係と新型コロナウイルス関連のタームを合わせた検索が一定数あるようなので、
情報のアップデートと合わせて、今までの記事のタイトルの整理や、「新型コロナウイルス関連」のカテゴリーを独立させた。いつまでも残しておきたいカテゴリーでも無いので、この騒動が収まったら削除して「情報・知識」の中に吸収してしまいたい。

さて、これも毎回書いている内容だが、IBD患者の新型コロナウイルス感染に関する情報は、
厚労省補助金によるIBD研究班の新型コロナ特別チームが毎月10日前後にHP*1上で更新している。

いい加減なことが書いてあるかもしれないこんなブログよりオリジナルを読む方が良いのはもちろん、
著作権の問題がありグラフなどは載せられないので、このブログでは文字だけになってわかりにくい。私の文章より研究班HPのpdfファイルを見る方がよっぽどわかりやすいので、このブログでHPや報告書の存在を知った方は是非、オリジナルの報告も見て欲しい。

最近も傾向はほとんど変わらない

記事の書き方が毎回同じになってしまう気がするが、前回(第9報の頃)の記事のから基本的な状況は変化していない。

IBD以外の患者の場合と同じように、入院率、重症率、死亡率とも年齢が上がるほど高い傾向にある。

0-9才のみ周囲の年代より重症化率が高い傾向があるが、研究班の報告にあるように「母数が少ない(ex. 10人のうち1人が重症化すれば10%と出てしまう、これは1000人に100人が・・、というのとは意味合いが異なる)」ことが原因かもしれないし、
通常よりも若年でIBDを発症する患者は難治性であることが多く、身体が形成される時期であることも相まって、より高い年齢の患者よりも体力的に不利(;低栄養であったりで弱っている)な状態であるからかもしれない。

治療法別の入院率、重症化、死亡率なども、これまでの傾向(生物学的製剤のみ < 生物学的製剤+免疫調整剤 or 免疫調整剤のみ < ステロイド)は変わっていないが、
最近は入院率、重症化率、死亡率すべての値が下がってきている。
また、以前ほど大きな差は無いが、潰瘍性大腸炎の方がクローン病に比べて重症化・死亡率ともにやや高い傾向も変わっていない。


最近数ヶ月は変異株の出現が世界的に問題になっているが、変異株による感染者の多いヨーロッパの統計を加えても以前と同じ傾向であることは、感染力はともかく極端な強毒化は起きていないようである。

直近の傾向で異変があれば研究班のまとめの文言が変わったり、昨年の4月、5月のように追加の文章が加わるはずなので、パッと見では先月の物か今月の物かわからない定型文のような文章が載っているのは一安心だなと感じる。

後遺症について

新型コロナウイルスは感染後に後遺症が残る事が言われている。
海外では若い世代でも脱毛などの症状を発信している人がおり、その報道もされているので気にしている人も多いのではないかと思う。
日本での調査は夏頃に始まっているはずだが、年度末にまとめられると当時言われたきり音沙汰が無い(中間報告ぐらい出して欲しかった)。
そんな状況なので、当然、IBD患者についての後遺症も詳細は不明だ。

参考になりそうな資料としては、医療者向けの「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」(厚労省のHP*2からDL出来る)がある。
この手引きは2/19日現在で第4.1版(12/25発行)まで発行されているが、9月発行の第3版から後遺症(:2章の5節、症状の遷延)が短くだが記述されるようになった。
第3版(12ページ)ではイタリア、アメリカでの調査結果がまとめられ 、第4.1版(18ページ)には上記の内容に加えてフランス、日本での調査の結果も載っている。

それらをまとめると、
イタリアでの調査では143例中87%が、回復後から平均2ヶ月経っても何らかの症状を訴えているとされ、32%が1〜2つの症状、55%は3つ以上の症状がみられた。
アメリカの調査では270人中35%が2〜3週間経っても「普通の健康状態に戻っていない」と答えている。
フランスの調査では120人の回復者(発症から110日後)のうち、30%に記憶障害、睡眠障害、集中力低下がみられた。
日本での電話調査でも63人の回復者に60日、120日経った後でも呼吸困難などの症状が残る(※ 手引きには様々な症状の割合が示してあるが、複数の症状が出ている人もいるはずなので、各種症状を単純に足し合わせて良いわけではないのだろうから、全体の割合はよく分からない)ことがわかっている。


各国の調査結果をみると、どの国でも回復者の3割以上で後遺症が残っていることがわかる。
これらの結果だけでは後遺症の期間については「かなり長く続く可能性がある」としか言いようがない。感染症自体が発見されてからまだ1年程度しか経っておらず、信用できそうな国で統計調査できる患者数に達した時点からはもっと短い期間しか経っていないので、後遺症がどのくらいの期間で減衰していくのかはまだ誰にも分からないだろう。
日本の調査で見ると、肺にダメージがある場合には長引きそう(回復後60日から120日にかけての割合の減少が少ない)感じはする。

私の父はガンで亡くなったが、肺を病んで1/4ほどしか肺が機能しなくなってからは、筋肉は正常でも、ベッドからトイレに行くだけで息が切れるようになった。その状態で5年間過ごしたが、ガンの進行を抑えても彼の肺の機能が回復することはなかった。
そんな姿を見ているので肺の機能を一部でも喪失することは非常に怖いことだと思う。

「感染者の3割に少なくとも数ヶ月間の後遺症が残る」のは絶対に"タダのカゼ"なんかではない。軽症や無症状でも後遺症があるとする報道もあり(マスコミは事を大きく見せたがるので信用は出来ないが)、罹らないに越したことはない。


また、後遺症については英語論文がいくつも出ているが、私は専門家ではないので今後もそれらを紹介するつもりはない。アカデミックな英語が読める人もこの手の分野に詳しくないなら読むには少々注意が必要だ。
猛烈な勢いで世界的に研究が進んでいる分野なので、様々な研究成果や報告が次々に上がってくる。私は国際学会や会議に出ているわけではないので、各研究の問題点や議論のトレンドのような空気感が全くわかっていない。
否定された学説や測定データも研究に不正がない限りは取り下げられることはないので、私が目にした研究がその道の人達からは否定されていても気づけない(普通の研究者は間違った説をわざわざ否定するような非生産的な論文を書いたりしない)。
無責任に書いているブログだが、他の人の威を借りて、もっともらしい真偽不明の情報を流すことは良くないので、紹介するのは研究機関や厚労省が一般向けに公表している(相応の知識を持った専門家達が議論してまとめたもの)だけにしている。


全体的に入院、重症化の割合が下がっている理由はあるのか?

この章は引用が無い(= 同じ事を考えている専門家がいない)ことからも分かる通り、私の妄想に近い内容(蛇足)なので、鵜呑みにしないように注意されたし。
「データを見てそんな風に考える人もいるんだぁ〜」と思う程度の内容である。

 

研究班のまとめのグラフを見ていくと、年齢別でも治療法別でも入院率、重症率などの低下が見られる。
これは第15報に限ったことではなく、この何回かに見られている状況である。
この理由について考えることがあったのでついでに書いておく。


各割合の低下について、IBD研究班は簡潔に「症例数の増加に伴い低下傾向」との説明を繰り返している。
これは統計データを扱うときに良く耳にする説明で、サンプル数が増えていくと真実値に近づいていくという性質によるものだ。

サンプル数を増やす努力(測定数が足らず何度も追加の計測をするとか)をした事がある人なら分かると思うが、サンプル数を増やしていくと一方の傾向(下がり続ける or 上がり続ける)が続くことになりやすい。
ここ数回の研究班のまとめでも各種割合の減少傾向が続いている。

「ただの誤差ならバラつくはずだから、真実値を挟んでジグザグ(上がったり下がったりを繰り返しながら)に収束していくハズ。減少だけしていくのはヘン。他に理由があるのではないか?」と思うかもしれないが、そうでもない。
サンプル数が増えると、初期に出た大きく外れた値の効果が薄まっていくから、一方向だけの変化になりやすいのだ。
ビギナーズラックで大当たりしても、長くギャンブルを続けていくと一般的な収支に収束していくような感じだ(当たりを"外れで埋め合わせている"のでは無く、当たりを"普通が薄めていく"感覚)。
「サンプル数の増大に伴ってブレがおさまり、もっともらしい値に収束している」はそれだけでデータを無理なく説明できる。

ただ、それだけでは面白くない。人間というのはデータを見ると何か解釈を考えたくなる生き物である。
研究班は責任があるので根拠の無いいい加減なことは言えないが、私は何の責任も無いので他に理由がないか、3つほど考えてみた。

ひとつは、治療法の確立。
特効的な治療法はないが、感染初期の抗ウイルス薬の投与や重症者にはトシリズマブなどのサイトカインを抑制する薬剤の使用が有効であることがわかってきている。
前述の診療の手引きも版を重ねるごとに少しずつ厚くなっており、短い期間で症状や治療に対する知見が増えていっていることがわかる。
重症化しやすい患者を見極め、先手を打って治療できれば重症化や死亡率は少しは下がるだろう。また、昨年の4月などは考えられる様々な治療法が試されていた感(効果が出なかった種類のステロイドの投与なども試みられていた)があり、それらの中から比較的有効な物だけが選択されるようになったのならば、今は当時より治療成績は良くなっているだろう。
実際、日本の新型コロナウイルス患者全体で、夏以降、重症化率や致死率は徐々に下がっている。

ふたつ目は、怖い内容だが、死にやすい、重症化しやすい人がすでに感染し終わった可能性だ。
これは、破壊力学やセキュリティの分野で使われる最弱リンク説(weakest link theory)のような考え方だ。
「鎖を引っ張った時、ちぎれるのはもっとも弱い(Weakest)輪っか(Link)だ」と言ってしまうと蓋もないのだが、「系全体に負荷を掛けたとき、破れるのは常にもっとも弱い部分」という考え方はシンプルながら様々な物事に応用できる。

治療法別の各割合にはこの考えが適用できるかもしれないと思った。
重症化、死亡率などの値が大きく変わっているステロイド使用者だが、
その患者の内訳を考えると、生物学的製剤を使うまでもない軽症の患者(コントロール良好、体調も良い)と、二次無効や副作用で生物学的製剤が使えなくなったステロイドでしか治療できない患者(コントロール不良、体調も良くない)が混在していることが考えられる。
コントロール不良の患者は通院や入院の機会も多いだろうし、体調も悪く、感染しやすい傾向にあったのではないか。それが初期に重症化・死亡率を引き上げ、そのグループの感染が一段落して数値が落ち着いてきた可能性があるのではないか。

また、感染者数が極端に多いアメリカの特性が統計全体の傾向を引っ張っている可能性もある。
国民皆保険制度の無いアメリカでは経済的な理由で高価な生物学的製剤を使用できず、比較的安価なステロイドによって治療を続けている群が存在するだろう。
それらの人は感染が拡大している状況でも働き続けねばならなかっただろうし、症状が出ても治療を遅らせる傾向があるので、予防することが一般的では無かった感染爆発初期の時期に重症化、致死率を押し上げた可能性もある。

最後は統計データの質が変わっていないか?という問題。
統計データというのはちゃんと考えていくと上手に取るのが難しいものだ。
今回の問題で言えば、死亡・重症化・入院率の分母をどうするかという問題がある

分母は感染者数とするのが普通だろうが、この場合でも、PCR検査が不足していた初期の頃には感染者数が少なく見積もられ(軽症例は見逃しているかも)ている可能性がある。もしそうなら、疑わしい例まで検査できるようになった最近の方が分母が大きくなり、各種割合は見かけ上、小さくなったように見えるはずだ。
また、検査数を急激に増やすと精度が落ちる可能性もあり、そこも問題になる。

PCR検査での陽性者を分母とするともうめちゃくちゃになる。
全数調査でもしない限りその地域にいる陽性者数なんてわかりようがないので、検査をして出てきた陽性者数を分母にしようものなら意味のわからない割合になってしまう。
各国の感染者の定義は一貫して共通しているのだろうか?


統計データという物は取ってしまうとそれらしく見える。
ただ、その意味の解釈はかなり難しいことがある。人間の性質が邪魔をして感覚とデータが合わないことも多々ある。
生活の中でグラフを見る度に思うのだが、ちゃんと頭を使って見ていくのは難しい。


*1:厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班, “Japan IBD COVID-19 taskforce”, 令和2年度 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班ホームページ, http://www.ibdjapan.org/task/index.html

*2: 厚生労働省, "医療機関向け情報(診療ガイドライン、臨床研究など)", 厚生労働省ホームページ, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00111.html

ヒュミラ 30〜33回目 その2(2/2)

<<その1からの続き>>

診察室に入ると、いつものように「元気ですか?」と声をかけられる。
調子は良いので「ええ、元気です!」と即答する。
「○○さん(私の名前)はいつも元気が良くていいねー。元気なことは良いことだ」と笑われて診察がはじまった。

いつもの通りこの8週間に異常が無かったかや腹痛の有無、体重を聞かれ、
「異常なし、腹痛なし、体重は64.5(前回から-0.5kg; 正月も休まず歩いた成果)」といった内容を答える。カルテには体重のあとに「毎日歩いている(だから微減)」というようなことも書かれた。
良い状態なので担当医は「うん、うん」と、にこやかにうなずきながら話を聞いていた。

体調に問題が無かったので血液検査の結果を確認すると、「おっ!いいねー」と言われる。
CRPは前回よりまた少し下がって0.7となっていて、ヘモグロビンも14.4とずいぶん高くなった。
血小板数が少し基準値を超えていたが、白血球数などは異常は無かった。
担当医からは「いいですね。薬が効いてる。CRPは(基準値よりは)少し高いけど、このくらいなら大丈夫です。このまま行きましょう」と言われて、これまで通りの治療を続けることとなった。

これで問診は終わりかと思ったら、「咳が出たり熱が出たりはしない?」と問われる。
前振りのない急な問いかけだったので質問の意図がわからず、新型コロナについての心配かと思って「???、いいえ、まったくでることはありません」と答えると、
「それなら良かった。でも、免疫を抑える薬(特に免疫調整剤のこと)を使っているから、気を付けないと結核とかに罹ることもあるからね。そういう症状が出たら言ってね。」と言われた。

この言葉で、"クローン病患者だからといって、他の病気にかからないわけじゃない"という基本的なことを改めて意識させられ、体調が良いからといって副作用を忘れがちになっていたことを反省した。
「気を付けるべきはクローン病の悪化や新型コロナだけじゃないな」と思い直しながら、「なるほど!わかりました。そういう部分でも体調の変化によく気を付けるようにします」と答えた。

最後は薬の量についてだが、
エレンタールだけは「どうする?今回も3つ(1日3包)にしとく?」と問われた。
「体重がある程度減るまでは3のままでいきたいと思います」と答えると、
「本当は食べる量を減らした方がいいんだけどね。それも難しいか・・」
「調子が良いとお腹が空くんです。食べたいです」
「そうだよねー」というやりとりをして、
「わかりました。じゃあそうしましょう」と言われて、今回もエレンタールは1日3包と言うことになった。

これで診察は終わりだが、免疫調整剤の飲み方(飲み忘れた場合)で気になったことがあったので聞いてみた。
「免疫調整剤を朝飲み忘れて、夕方や夜になって気づいた場合はどうしたら良いですか?なにか食べて、すぐに飲んだ方が良いですか?」と尋ねてみると、
「次の日に1粒飲めばいいよ。(忘れた分を翌日と合わせて)2つ飲んだりすると良くないから、忘れた日を飛ばして次の日から普通に飲んでください」と言われた。
この答えで満足し、他に質問することもなかったので、使用済みのヒュミラを渡して新品の廃棄用の袋をもらい、診察室を出た。
この日は診察が短く終わったこともあって、9:20頃には会計へ向かう事が出来た。


薬局に行くと他に待っている人はおらず、後から来る人もいなかったのでスムーズに手続きが進み、キャリーを準備している間に薬が続々と出てきた。
エレンタールを自宅へ送るための伝票を書いて、薬の説明をうけ、CRPが0.7に下がったことを話して薬局を出た。


家に着いたら1箱だけ運んできたエレンタールを物置に入れるのだが、時節柄そのまま入れることはせず、箱をアルコールで拭いてから収納した。
外を転がしてきたキャリーカートは全体にアルコールのスプレーをし、特にタイヤや地面に接した部分は念入りにアルコール消毒をして、よく乾燥してから片付けた。




【30〜33回目の体調のメモ】
30回目、11/18 11:00頃右の上腕に打ってもらう
11/20(金) 便の調子よい
11/22(日) 便が硬く、排便に少し苦労する
11/23(月) 一日を通して脂を多めに取ったが特に下痢にはならず。排便回数も3回。食後の散歩後にしばらく右の脇腹(へその右、少し下)が弱く痛むが、歩いたせいなのか腹痛なのか不明。寝る頃には治まる

12/2(水) 9:40頃左の太ももに打つ

12/16(水) 10:05頃左の腹部に打つ。注射時の痛みは無い

12/30(水) 9:10左の上腕部に打ってもらう。やはり腕は脂肪が薄く注射時に痛みがある
1/2(日) 便の調子はよく、形のある便が出る。ただ、便が硬くなってきたため排便時に出血するようになる。
1/7(木) 調子は良いが出血少し多い

ヒュミラ 30〜33回目 その1(1/2)

ずいぶん久しぶりにブログを書く。
まとまりなくいくつかの記事を並行して書いていたのだが、文章も頭の中も煮詰まらないうちに、年末にイレギュラーな対応をしなくてはならなくなって、
忙しさもあって書きかけの記事を推敲するのも、頭の中身をアウトプットすることすら億劫になってしまった。

何も書いていない期間も以前の通り良い状態が続いていたが、
細かい感触の欠損や記録をサボることが癖になると良くない(加えて、妻に「書け」と催促される)ので、再開して適当な間隔で書いていこうと思う。


1/13(水)に8週ごとの定期的な通院に向かった。
関東の4県には緊急事態宣言が出ていたが、通勤時間帯の混み具合は2ヶ月前と変わらない感じだった。

病院に着くと検温と手指の消毒をして受付をした。
採血までは短くても10分くらい待たされるので、「先にトイレを済ませておこう」と思ってトイレに行った。

トイレで用を足していると、外で名前を呼ばれているのが聞こえる。
保険証は受付時に返してもらっていたので「診察券や受給者証になんか問題でもあったか?」と焦るが、
慌てて出て行くわけにもいかないので、ゆっくりすませて、しっかり手を洗って出て行った。

待合室に戻ってキョロキョロしていると検査から声がかかり、(受付ではなく)採血に呼ばれていたことがわかった。
シャツの袖をまくりながら席に着き、いつもの注意事項を聞いてから採血してもらった。

針が刺さったときに「!? いつもより痛いか?」と感じたが、しびれなどの異常はなかったのでそのまま採血は終わった。

だが、待合室で絆創膏を押さえながら時計とにらめっこしていると、1分くらいで(押さえている)指先が濡れる感じがしてきた。
「ん?」と思って腕を見ると、普段は白い絆創膏のパッド部分が赤く染まって、絆創膏の周りにも薄く血がにじんできている。
押さえていた指にも薄く血が付いている。
一瞬ぎょっとしたが、大きな出血では無かったので、慌てず「絆創膏がズレてたか」ぐらいに考えて検査室の小窓をつついて採血してくれた技師さんを呼んだ。

「どうしました?」と言われたので、「すいません。血が・・」と言いながら腕を見せると、それ以上説明する間もなく理解してくれて、
「血が出てきちゃったのね」と言いながらアルコール綿、新しい絆創膏を出してきて、張り替えてくれた。
服に付いていないかと聞かれたが、袖をまくったまま止血していたので大丈夫だと答えた。「指に付いた血はよく洗えば落ちます」との事だったので出血が止まったことを確認してからトイレで洗い流した。

その後は特別出血することもなかったが、家に帰って絆創膏を剥がしてみると内出血をしていた。
採血時に痛い気がしたのは気のせいじゃ無かったんだなと思うとともに、私の後に採血をしてもらった男性も絆創膏を変えてもらっていたことを思い出し、
「何度も採血してもらってる人なのに連続で刺しすぎるなんてヘンだな、注射針でも変えたのかな?」と思った。

 


話を採血直後に戻して、
採血での騒動が済むと待合室でしばらく待った。

待合室は空いている印象だった。診察の患者さんも少ないような気がするが、なにより内視鏡検査の人たちがいない気がした。
普段は待合室のそばのスペースで少人数毎に着替えや検査の説明をするので、
その声が聞こえてきたり説明に呼ばれるのを待つ人がいるのだが、それらの人の気配がほとんどしなかった。

9時を過ぎると他の患者さんが診察室に呼ばれて入っていく。
「ああ、また何人もに抜かされていくのだな」と思ってカバンから本を取りだして読み始めると、2番目に自分の名前が呼ばれた。
予想外の早い呼び出しに「今日は採血も診察もやけに早いな」と思いながら荷物をまとめ、診察室の扉をノックして中に入った。


<<続きは↓>>

cd-mo.hatenablog.com

ヒュミラ 22〜25回目 免疫調整剤は継続、久しぶりの腹痛 その2(2/2)

<<その1からの続き>>


会計をして薬局に行くと、病院の待合室とは違って他に誰もいなかった。
早速処方箋やお薬手帳などを渡して用意されるのを待った。

他に待っている人がいないのですぐに薬が用意されていくのだが、なかなかエレンタールの箱が出てこない。
「動ける人が少ないのかな?」と思っていると、処方箋を持って薬剤師のおばちゃんが出てきたので用意された薬の確認をすることになった。
「薬の確認をしながらエレンタールが運ばれてくるのを待つのかな?エレンタールは4箱キッカリだから数を間違えようもないし」と思いながら処方された薬の確認をすると、エレンタールだけが処方されていないようだ。

「今日はエレンタール1つもないんですか?」と聞くと「出てませんよ??」とのこと。
「前回、在庫調整のためにエレンタールを出してもらわなかったので、
今回は電子カルテからエレンタールの項目が消えており、入力し忘れたのではないか」ということを説明したら「あーそれならあり得るかもね。先生に確認します」とすぐに納得してもらい、病院に確認をしてもらった。

結果、いつも通りの4箱を処方されて送ってもらうことにし、フレーバーをバッグに詰めて家に帰った。

 

家に帰ったら早速ヒュミラの注射をして、
この週は遅い夏休みを取っていたので昼過ぎに午睡を取ったのだが、途中で腹部の違和感を感じた。
半分寝ぼけながら「昼食後、眠るのが早すぎたか?へんな姿勢で眠ったからか?」と思いながらもう一度眠ったが、夕方に痛みを感じて起きた。

起きてみるとやはり痛みがある。
横になるのをやめて座っていたが痛みが消えることはなかった。
痛む場所は、腹の上部・中部・下部に時間とともに無作為に移り変わる。
痛む箇所は、(脇腹だけ、中央部だけといった)局所的なものではなく、横にぼんやりと長く拡がる(「腹の上部全体が痛い」のような)感じで、捉えどころが無い。
姿勢を直しても、時間が経っても消えないことから、寝てるときに内臓を圧迫した、ひねった、ではないことが分かってきた。

これまで腹痛を感じたのは、レミケードを開始する直前の最も体調が悪かった時期だけだが、
今回の痛みにはそのときほどの鋭さや強さではなかった。

それでも腹痛を感じるのは心配になる。
すぐに思いついたのは「狭窄が進行したのでは?」だったが、排便もでき、痛みもひどくないので、緊急性はまだないとして、様子を見ることにした。
「腹痛は全くないですと言って帰ってきたその日にコレとは・・。」と思いながら、「この状態が続くようなら明日にでももう一度病院だな」と考えながら過ごした。
その日は(おそらく精神的なショックもあり)食欲も無く、かなり軽めの夕食を摂って眠ることになった。
夜の遅い時間には痛みが少し和らいでいるような気がした。

翌朝起きて感じたのは、「だいぶ良くなっている」という感想だった。
それでも痛みがぶり返すかもしれないので恐る恐る起きて朝食を食べて過ごしたが、悪くなることは無かった。
完全に痛みが消えたわけでは無いが、
痛みの質も重く鈍い、だるいような(打ち身の痕のような)感じに変わり、痛み自体も弱くなった。痛む領域も前日より狭くなった。

痛みが軽くなったので、もう少し様子を見ていると、さらに翌日には痛みも弱まり、土曜の朝には完全に消えていた。
その後は痛みの再発は無い。

3日で痛みが消えたことから追加の診察をしてもらってはいないので、詳しいことは分からないが、
痛みは炎症から来たものだろうと結論している。
この週は便の状態、排便回数からもヒュミラの効果が早めに切れてきていることが感じられることと、
痛みが消えていく期間が便の状態の回復期間(=ヒュミラが効いていく過程)とよく似ていること、
その後は痛むことがまったく無い(狭窄ならば時々痛むことがあるはず)のが、そう思っている理由だ。


【22〜25回目の体調のメモ】
22回目、7/29(水) 11:20頃右の太ももに打つ
7/30(木) 午前中から弱い頭痛(頭が重い感じ)が続く。何度か検温したが、熱は常に36.5℃前後で、発熱は一切無い
7/31(金) 前日と同様、軽微な頭痛がある。発熱はなし
8/1(土) 軽微な頭痛続く。軽い運動で汗を流しても治まることはなかった。発熱はなし
8/2(日) 頭痛無くなる
8/5(水) 便の状態良い。排便回数2回
8/7(金) 便の状態良い。
8/9(日) 昼食・夕食のせいか夜に下痢

23回目、8/12(水)注射の予定を完全に忘れており、17:20頃に右腹部に注射。
8/13(木) 便の状態はぼちぼち。副作用のようなものも感じない
8/14(金)〜16(日) 便の状態はやや不安定。下痢になることもある。便がやわらかいため出血はほぼない。
8/17(月) 朝からしっかりした形を持った便がでる。朝は出血が無かったが、午前にもう一度排便があった際には少し出血。
8/18(火) 前日と同じく良い状態が続いたが、日付が変わった1:30頃に目が覚めると下痢。その一度だけで再び就寝できた。
8/21(金) 日中は形のあるしっかりした便。回数も少なく出血も少ない。
8/22(土) 飲酒後、夜に下痢気味。
8/23(日) 夜に下痢気味。週末は飲酒と食事が少し脂っこいためか下痢になることがある。
8/24(月) 便の状態はやや緩くなり、頻度も4〜5回程度になる。このあとも、その状態が続く。

24回目、8/26(水) 8:00頃右上腕に注射してもらう。薬液注入時に痛みを感じる。注射後も午前中は注射痕近くの上腕三頭筋に痛みが残り、少し焦る。腕は脂肪が薄く、筋肉が近いため位置によっては痛みが出るようだ。
8/27(木) 朝、便の状態はよい。出血無し。
8/31(月) 脂と飲酒のためか夜中に下痢。
9/2(水)便の状態良い
9/7(月)軟らかい便が出る。午前中に2回。

25回目、9/9(水)9:45頃左の太ももに打つ。薬液注入時のみ少し痛みあり。発熱などは一切無し
9/10(木)便の状態は形はあるが軟らかめ、排便回数は3回。
9/11(金)便の状態は変わらず。
9/14(月) やや軟らかい便。
9/16(水) 午前は良い状態も夜に2度やや柔らかい便。排便回数は3回
9/17(木) 良い状態。排便回数は2回。
9/21(月) 下痢気味。排便回数も多い
9/22(火) 昼過ぎから下痢

ヒュミラ 22〜25回目 免疫調整剤は継続、久しぶりの腹痛 その1(1/2)

9/23(水)8週ごとの定期的な通院のため病院へ向かった。

8:45頃に病院へ着き、手指の消毒と検温をして待合室へ向かった。
前日まで連休だったこともあり、待合室が混むのが早い。診察開始時間の9:00頃には多くの席が埋まっていた。
そして、今回も採血が遅い。後から来た何人かに追い抜かれて、受付を済ませてから20分経った頃に呼ばれて採血をした。

結果が出るまで診察されないので、そこからさらに15分くらい待つと診察室に呼ばれた

診察室に入って挨拶をし、座ると、担当医に謝られる。
「ごめんねー。今回も採血が遅くなって。毎回採血はするから早めにするように言っておくから」とのこと。

これまでの症状と腹痛の有無や仕事の可否といったいつも通りの問診を受けながら体重を聞かれた。
65kgを超えたことを伝えると「おお、だいぶ増えたねー」と言われ、これまでのような(「増えるのは良いことだ!」というような)お褒めの言葉は無し。
自分でも太ってきて困っているので、腹をさすりながら「だいぶ腹が出てきて気になるので、涼しくなってきたし歩く量を増やしています」と伝えると、
「うん。(調子も良いようだから)適度に運動してください」と笑われてしまった。

問診が終わると血液検査の結果を確認する。
「おっ!下がってるねぇ!良いですね」
と言われ画面を見ると、CRPの値は1.0。
ヘモグロビンやMCHなどの値も完全に回復しており、血小板数も正常値に収まっている。異常なのはCRPの値だけだ。
CRPの結果を指して「まだちょっと高いけど、これぐらいならいいですよ」と言われる。

治療の状況を確認するためにカルテを見ながら「おっ、免疫調整剤(併用して)使ってくれてるんだ」と言われ、
8週間前から使っていると答えると「効いてるようだから続けて使っていきましょう」とのことで、免疫調整剤の継続が決まった。


クローン病の症状、治療についてはすぐに終わったが、今回は別の懸案事項があったのでその事を続けて相談した。

7月のはじめに行った健康診断で引っかかった項目が2つある。
一つは血小板数の基準値超えで、これは8週ごとの血液検査で主治医も把握していたことであり、現在は正常値に戻っているのですでに解決しているが、
もう一つの、HDLコレステロールの量が基準値を割ったことについては「要治療」と書かれており、内科にかかるべきかをまず主治医に確認をしたかった。

私は父親から「血管の病気に気を付けろ*1」と言われたことがあるので、脂質異常には少し敏感になっている。

主治医に健診結果を見せて内科を受診すべきか聞くと、HDLコレステロールについて簡単に説明してくれた後、「これぐらいなら放っておいても良いよ」とのことでちょっと拍子抜け。


経過観察とはいえ、HDLが低値で良いことは無いので自分で出来る改善はしたいと思っている。
と言っても直接出来ることは少ない。
脂肪の摂取制限はすで十分にしているし、運動も月平均で8000歩前後の散歩を一昨年から続けている。摂っている油の質を、n-6系を増やしたり、不飽和脂肪酸を減らしたりるのがせいぜいだろうか。
よく言われている生活習慣の改善でできる点はもうあまりないが、中性脂肪の方から改善できるかもしれないとは思っている。

クローン病になる前後で、HDLが漸減していっただけではなく、中性脂肪も増えてきている(LDLはほとんど変わらない)。
コレステロールは種類毎にバランスしており、中性脂肪を下げることで間接的にHDLを増やしたりLDLを減らしたり出来るとも言われているので、余分な糖分の接種を控えてサプリメントなども摂りながら中性脂肪値の抑制にも努めようと思う。

ところで、この中性脂肪の増加だが、エレンタールのせいではないかとにらんでいる。
発病前は基準の中央値よりも低かった値が、クローン病の治療を始めてからは毎年のように増えて今は基準をオーバーするくらいになっているというだけでなく、
コレステロール値が基準値を割っているような調子が悪かった(総タンパクやアルブミン、赤血球関係の値も軒並み基準値割れだった)時期でも中性脂肪だけは基準のど真ん中であったことからも食事由来であることを疑っている。

クローン病になってからは食事のタイミングも規則正しくし、意識的に歩き始めたのも発症後からだ。甘い物はあまり飲まなくなったし菓子類は元々食べない。
食事中の炭水化物の割合は増えているかもしれないが、食事の量自体は減っているので摂取エネルギーも減っているはずである。
生活は明らかに健康的になっているのに中性脂肪が増えていくのは、エレンタール(≒砂糖水)を毎日1リットル以上飲んでいるからだろうと思っている。


健康診断結果についてのやりとりが終わると、インフルエンザの予防接種の可否を確認して、簡単にOKをもらい、
5回分の使用済みヒュミラを返して診察は終わった。

 
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*1:祖母、父親と父方には比較的早い段階で糖尿病になっている人がいるので、以前は自分もそうなると思っていて、
「自分はまだ全く正常値の範囲内なのだが、いつ頃から血糖値が上がってきたのか」と父親に聞いたことがある。

その際に、我が家には2つの生活習慣病の系統があり、1つは糖尿、もう一つ(婿入りしてきた祖父の系統?)は心臓や血管系のトラブルだと教えられた。
そして「お前は(血管系の問題が起きる方の特徴が現れてるから)ソッチだ。糖尿にはならんから心配せんでいい」と言われた。
それ以来血糖値よりもコレステロール値を気にするようにしている。

実際、血糖値は常に低めの正常値だが、コレステロールの方は若い頃からHDLコレステロールの値が低めで、LH比(LDL/HDLの比)も良くない状態が続いている。