なんで論文を読むのか
妻が読んで喜ぶ以外だれのためにもならないような内容なので「痴れ言・放言」のカテゴリーを新設して分離する。
クローン病の情報のない、私の日常についてのいいかげんな日記なので読まれる人は注意されたし。
先日、付き合いの長い友人らと食事をしたとき、クローン病についての論文を読んでいることを私"らしい"と言われた。
「フツウは論文までは読まないよ」と。
普段の私の様子から論文を読んでいても違和感はないのだろうが、されど喜んで論文を読んでいるわけでもない。
自分の病気に関して情報が少ないのだ。
病名を聞いて、まず始めたことは、診察時にもらったパンフレットを読むことだった。
それで病気の概要が分かると、似たようなパンフレット類、製薬会社や医療機関のホームページで情報を収集した。
もう少し詳しくと思って、三雲社の「CC JAPAN」(IBDの情報誌)や「クローン病・潰瘍性大腸炎と診断されたらまっ先に読む本」も読んでみた。
それらを読んでも2〜3ヶ月で読む物がなくなってしまった。
一方、知識の増加とともに病気に対する疑問は具体的になり、増えてもいった。
他の患者さんのブログにはレミケードの効果が弱まる旨の記述がいくつもあったし、レミケードとリンパ腫の関係についても気になっていた(※ その当時は免疫調整薬との併用については知らず、単剤のみが関係するものと誤認していた)。
病気の長期経過(病状がどう進行していくのか、現状はどの段階か)についても知りたかったし、ガンのリスク増についてももっと詳しく知りたかった。
食事療法、特に脂肪の摂取量については資料により目標値が異なることがおかしい、という疑問も持っていた。
マイナーな病気なので、よくまとまった本も見つからず、しょうがないので「もう少し専門的なもの(論文や報告書)でも読んでみるか」となった。
と言っても、論文にはその分野の最先端の内容が書かれているので、自分が勉強したこともない分野のものなど読めるはずがないと思ってもいた。
そんなことを思いながら適当なものをwebから落として読んでみると、意外に読めた。
独特の言い回しもあるが、内容は簡単で、議論も軽い内容の物が多い。
考えてみると、日本語の医学論文は、医学者(= 医学の研究者)向けだけでなく、患者の治療を主な業務とする(= 研究が主ではない)臨床医向けの内容を多く含んでいるようだ。
医学以外の分野の論文雑誌でも、研究者だけでなく技術者・実務者にも理解できるように内容を平易に書いてあるものもある。
日本語の論文ならば科学的な文章に抵抗がなければ意外にすんなり読むことが出来る。
複数の論文を読んでみて、内容が理解できることを確認してからは、webで見られない雑誌のクローン病の特集号を取り寄せたりもするようになり、勉強をしている。
分野の先端では、定説が覆ることや同じデータでも解釈の違いで結論が異なることなどはよくあることなので、そんなことにも注意しながら知識を増やし疑問点を調べている。
国際論文は専門性が強くなり、論文数も膨大になって検索がめんどくさいのと、
用語や単語を一から覚えないといけない(gastroenterology: 消化器病学, colitis: 大腸炎 のような基本となる単語すら知らない)のが煩わしくてほとんど手を出していない。
web上の日本語論文は少ないので、解決しない疑問点があれば、またしょうがなく読むのかなと思っている。