くろーんもーのクロ歴史

2018年の3月に35歳を過ぎてクローン病と診断されたおっさんの備忘録的なブログです。病状や治療のことを書き綴ります。

医療の報道があてにならない

完全にただの愚痴で、アホなことが書いてあるだけなので『痴れ言』のカテゴリー。
クローン病に役立つことなんて書いてありませんのでご注意ください。

 


安倍首相が辞意を表明して、潰瘍性大腸炎についてのニュースがグッと増えたが、中身は「こんな程度なの?」という内容が並んだ。

すでに病名は分かっており、完治することはなく、再燃の可能性もある(= 急に記事が必要になる可能性だってある)病気なのに、7年間まったく記事の準備をしていなかったのだろうか。
辞任前の健康不安がささやかれていた時期の記事には特にひどいものがあって、5-ASA製剤をステロイドと言っていたり・・。

ようやく出始めた専門家の解説でも、生物学的製剤のことを全く触れていなかったり、下痢や下血の症状ばかりクローズアップされていたり(軽傷から重傷まで症状の幅がかなり広いこと、「進行性の病気」であり酷くなれば大腸の全摘も必要になること、栄養の摂取不良や貧血が慢性的にあって弱りやすいこと、寛解期であれば通常の生活は送れるが再燃の恐怖は常に感じること、症状があるときは常にトイレの位置を確認しながら行動をしていること、など大変な要素は他にもある)、大事なところが抜けているような、不満が残るものが多かった印象だ。


新型コロナウイルス関連のニュースでもそうだが、日本のマスコミの医学に関する報道の無能さは思っていたよりかなり酷いものだった。

昼のワイドショーでは直前の情報と明らかに論理矛盾した、恐怖をあおる以外に何の意味もない阿呆なやりとりをし、司会もコメンテーターも矛盾を指摘しない。
査読も通っていない怪しげな情報をしたり顔で垂れ流したり、第1波の時には「検査不足で死者が過小に見積もられている」などと根拠のない憶測で無責任にあおっていたり(これは自分でも気になっていたので、後日研究機関から発表された肺炎の超過死亡を確認したが、大きく増えてはいない)。
一時期救世主のように、あるいは「さっさと追加承認しろ」と迫るように報道されたアビガンについても、「有意差無し」の研究成果(症例数が増えれば有意となる可能性は否定していないが、思っていたような特効的な効果は無さそう)が出ると途端にしぼんでしまった。

いつものことだが、根拠がない、間違った多数の情報を流したことを省みない姿勢も気に入らない。
謝ってくれとは思わないが、医学も含めた科学分野で未知のモノが既知の知識になっていく長い過程をちゃんと解説して、彼らも一緒に学んでくれたら良いのにと思ってしまう。

 

私は、さまざまな媒体の報道関係者を10名前後知っている(多くは地方の報道機関で、キー局の人は1,2人くらいしか知らないが)のだが、
彼らと接してみると、ほとんどの人がクレバーだと感じていた(ただし、自分のストーリーに沿って情報をはめ込もうとする(;集まった情報による仮説の修正や棄却をしない)傾向が他の職業の人より強いようには感じた。また、稀にいるどうしようもない人は本当にどうしようもない)。
知り合いの科学分野の記者は小さな記事でも、別の専門家からのコメント(裏付け)を取りたがり、「ちゃんとクロスチェックをかけるんだな」と感心したこともある。
なので、報道機関に関しては比較的ポジティブに見ていた分、「ここまでむちゃくちゃな事を発信するのか」と一層落胆してしまった。

 

これまでの新薬や病の機構の発見ではまともな情報が流れていたと思っていたのでその意味でもショックだったが、
よく考えてみると、それらの情報は大学や研究機関がプレスリリースしたものを伝えていただけだったのかと思い至った。

研究機関が積極的に表に出すような情報は、査読済みで論文雑誌に掲載されるのを待っているような状態なので、成果はコンパクトにまとまっており、議論にも耐えられるだけの厚みもある。説明用の資料も整理され、練られたわかりやすいものになっているはずだ。

お膳立てされた内容を多少まとめるのと、
問題を自ら見つけ、それに詳しい相手を探し出して取材に行き、(必ずしも上手ではない)説明を理解し、不明点を質問し、それらをわかりやすくまとめるのとでは難易度の次元が違う。
医療の分野についてはそこまでの力はないのだなと残念に思う。

 

情報があてにできないなら見なければ良いのだけど、それだと外からの情報をすべて自前で取ってこなければならないし、得られる情報の幅も狭まるので困る。
結局、間違ってる前提で心構えを持って、重要な事は常に自分で確認して理解するしかないのか。

私が子供の頃に比べて情報の発信が爆発的に増えて便利になった分、そのリテラシーも必須になったが、それでも、"ウソをウソと見抜ける人でないと・・" を報道機関にまで適用しなきゃならんとは、イヤな世の中だなぁと思う。